殺人衝動
ゆっくりと志貴は目覚めた
引き出しからナイフを取り出して出かける準備をする
さて───ゲームの始まりだ
屋敷を出て道路を歩く
とてもいい夜だった、微妙な風があり静寂だ
風は獲物の匂いを運んでくれる
静寂は相手の気配を読む事ができる
まさに絶好な日だった
さらにその日の視界は良好だった
満月がアスファルトを照らし確実に景色が見える
道路を歩き、学校の前まで来た
そこから大通りに出て道を歩く
目の前から酔っ払いが歩いてきた
とりあえず──
心臓を刺した
ごりっとした音
鈍い感覚
肉をえぐる触感
それと共に目の前の男は死んだ
死体を片づけたあと何事もなかったかのように再び歩き出す
駅の近くまで来た
さすがにここには人がたくさんいて殺りにくい
とりあえず路地裏に入る
先客がいる
地面には胃液と何かが混じったものが出されている
それと同時に男からはアルコール臭がした
路地裏に入ってきた自分を見て驚いている様子が伺える
数秒後
路地裏には先客がいた
代わりにアスファルトには赤いペンキをぶちまけといた
再び、大通りに出る
そして別の路地裏に入る
入口の近くで獲物を待つ
目の前を通った人間を引きずり込む
女だった
恐怖で脅えている
とりあえず
首からナイフを生やしといた
そのまま倒れる
倒れる時に首を押さえた
てこを使って逆の方に動かす
ゴキッっといった音が鳴って、首が後ろの方に傾いた
体を振り回して壁にぶつける
女の頭はまるで振り子のように首を横に動かしている
さっきと同じように地面に液体をぶちまけた時、路地裏に奴が来た
奴と会うのはこれで何度目だろうか?
月の光が路地裏に差し込む
それと同時に奴の顔、姿があらわになった
奴は一見、自分と同じ顔をして同じカッコをしていた
だがどこか違っている
その場の空気が張り詰める
そして互い、同時に走った
弾丸のようにぶつかり合い、離れる
それと同時に金属のぶつかり合う音が鳴り響いた
別にどちらかが受け止めたわけじゃない
互いに首を狙ったからそうなっただけ
再び間合いを詰める
左手首に向かってナイフをおろす
奴は受け止め、心臓に向けてナイフを持った手をのばす
切り払い、今度はこっちが切りかかる
受け止められてこっちが切られかける
避けて、切る
切られそうになるから、避ける
受けて、切る
切られかけるから、受ける
力をこめて、切る
跳ね返されて、切られる
右手に浅く入った
だがこの程度では止まらない、今度はこっちが切りかかる
左手に入ったが浅い、今度はこっちが切られた
また右腕の同じ所を切られた
ナイフを左手に持ち替えて相手の腕を裂く
相手もナイフを持ちかえる
互いに右腕をだらりとたらしている
そして──
同時に切りかかった
左手から鮮血が飛ぶ
金属が地面に落ちる音が響く
右手が切られる
両手の感覚がなくなる
突然、体が沈む
足に力をこめるが踏ん張りが利かない
両脚まで動かなくなった
右足は蹴られてあらぬ方向に曲っている
左足にはナイフが刺さっていた
好き勝手に切り刻まれていく身体
肩が切られる
腹が裂かれる
膝が折られる
骨が砕ける
ゴキッ
あばら骨が二、三本折れてたようだ
痛くはない
ただ、息がしにくく、体が動かない
そして、首を掴まれる
奴の行動は不可解だ
一気に奴は空中に飛んだ
そして、奴は自分の背後に立つ
?
何故か自分の背後に廻った奴の姿が見えた
それと同時に意識が消えていく
ああ…………何の事はない
ただ首が曲っただけだ
先ほどの女に似ている
首が真後ろに曲がった
ただ、それだけだった
消えていく意識の中で思う
今夜は負けたが──
次の夜も勝てると思うなよ──
遠野志貴は目覚めた
先ほどまで自分の殺人衝動と戦っていた記憶が蘇させられる
いつまで自分の殺人衝動に対抗できるか不安だった
今夜は勝てた
だが次の夜も勝てるかどうかはわからない
けど、自分の大切な人達の為に戦わなければならない
理由はそれだけで、大丈夫
志貴は再び眠りについた
後書き
どうも、グレンです
どうしても意表の突いた物が書きたくて
ありきたりな作品ができました
さらに、落ち無し………
まあ、許してください(笑
読んで下さってありがとうございました
2003年、1月、20日(グレン作)