Re:plica
・・・朝か。
またあの夢を見た、琥珀さんの夢を、誰よりも大切だった琥珀さんの夢を・・・。
それなのに守れなかった俺の無力さの夢を、また見た。
「琥珀さん・・・」
親父に囲われて、自分を捨てる事で自分を確立した琥珀さん、そして遠野家へ復讐しようとして、けどそれも失敗に終わって、自ら命を断った恋人。
その場にいたのに何もできなかった、窓から眺めていた琥珀さんを外へ連れ出せなかった
約束さえも守れなかった自分。
「・・・起きよう」
このまま寝ていると翡翠が起しに来る。
まだ俺は翡翠に遭うのはツライ、どうしても琥珀さんを思い出してしまう。
早く着替えて学校ヘ行こう。
「兄さん」
門から出て学校へでようとしたら秋葉に呼びとめられた。
「なんだ」
「いいかげん翡翠を避けるのをやめてください」
・・・・・・。
「琥珀が死んで悲しいのは、わかりますが それは兄さんだけではないです。 翡翠だってたった1人の肉親をなくしたんですし、私だって子供の頃から付き合いの友人をなくして悲しいんです」
「わかってるよ、でもまだツライんだ翡翠の顔を見るのは」
翡翠の顔を見ると、どうしても琥珀さんを思い出してしまう。
それがツライし、そのせいで翡翠につらく当たりそうだから、なおツライ。
「翡翠を私の付き人にしたのは、兄さんの気持ちを汲んだからです ですから翡翠を避けるのはやめてください 話しはそれだけです」
「すまない秋葉」
「いえ・・・お気をつけて」
“翡翠を避けるのはやめてください”か・・・。
そう言えば俺は、琥珀さんを亡くしてから1ヶ月近く立つが、翡翠とまともに顔を合わせたのは数えるほどしかない・・・口も聞いていない。
秋葉が、あんなことを言うと言う事は、翡翠を俺の想像以上に傷つけてると言う事か・・・。
それでも俺は、それでも君には戻れない・・・・・・・・・・・・。
学校の授業を半分上の空で聞き流す。
だから無意味に早く遅く時間が過ぎて行く・・・。
それが日常を象徴する事に歯がゆさを憶える、大切な人を失してもなにも変らない。
それは、非常に歯がゆく下らない・・・。
「おい遠野、学食へ行くぞ」
「なんだよ有彦いきなりだな 悪いが気分じゃないんだ」
「そう言うわけにはいかない、奢ってやるから来い」
そう言ってから有彦は、俺を首を引きずって行く・・・。
なんなんだよ。
相変わらず無意味に騒がしい学食。
有彦は俺を空いてる席へと案内した、そしてそこには、なぜかシエル先輩とさっちんがいた。
「俺が料理を持ってきますよ なんにしますか」
「乾君、私も手伝いますさっちんと遠野くんは、そこで待っていてください」
そう言い残しシエル先輩と有彦は人ごみの中へ溶けこんでいった。
やれやれだ・・・。
「ねぇ志貴くん なんか悩み事でもあるのかな」
さっちんは俺の目を見据えてそんなことを言ってきた。
そこで始めて俺は、有彦が俺をここに無理矢理に連れて来たわけを悟った。
さっちんも有彦もシエル先輩も下手な同情をするような人ではない。
とく事情を知っているシエル先輩ならなおそらだ。
「少しだけね・・・」
俺は、感謝の意味を踏まえ答える。
「そう、あのねよかったら私達にも相談してくれないかな、力になれるかどうかはわからないけど、それでも私は志貴くんの力になりたいから」
「うん、ありがとう でもあんまり人に話せる内容じゃないから でも少し元気が出たよ
ありがとう」
「いいよ私が救ってもらってばっかりじゃ悪いから たまにはね」
さっちんの言葉のおかげで少しだけど前向きな気分になれた。
俺はなんとなく午後の授業をサボってから、町外れの草原に行ってみた。
ここに来れば少しは気が晴れるからだ。
考えてみれば今日は秋葉に注意されさっちん達に慰められた。
俺って、そこまで落ち込んでいたんだな。
こんなんじゃ琥珀さんに怒られるかも・・・・。
「魔法使いの前で寝たままといい度胸ね志貴」
なんとなく来そうな予感がしていたが。
「先生こそ直死の魔眼の持つ主に喧嘩を売るとはいい度胸ですね」
「冗談よ」
「それにしても志貴、貴方8年前と同じ瞳をしてるわね なにかあったの?」
「そうですね先生には、話すべきかもしれませんね」
俺は、起きた出来事を、8年前と同じようにポツリポツリと話した。
自分の事。
大切な人を守れなかったこと。
自分の悩みを、ここで先生に打ち明けた・・・。
「そう、ごめんね志貴 辛い事を聞いて」
「いえ気にしないでください」
「志貴」
先生は、俺の名前を言うと8年前と同じように俺を抱しめる。
「君は、私の言葉通りになってくれた だからね志貴が正しいと思うことをすれば きっと亡くなった琥珀さんも、妹の翡翠も笑ってくれると思う 志貴は、今のままではいけないと思ってるんでしょ? なら自分と正しいと思うことをしなさい わかった志貴」
「はい・・・・ありがとうございます先生」
「気にしないでよ 大切な生徒を慰めるのが先生の仕事だから さてと私はもう行くわねまた機会があったらあいましょう」
「はいさようなら、先生」
俺は家に帰るとあの約束の大木の元へ歩いていく・・・。
“私の宝物だから返してね”
そう言って唯一俺を遠野家で待っていてくれるといった幼い頃の琥珀さん。
考えてみれば俺がこの家に戻ってきたとき最初に迎えてくれたのは琥珀さんだった。
俺は木にもたれかかる。
こうすればなんとなく琥珀さんを感じれるような気がしたから・・・。
「志貴さん 志貴さん起きてください」
・・・・・・琥珀さんの声がする。
「せっかく志貴さんに会いに来たんですから、起きて下さい」
・・・・・・琥珀さん?
「はい、そうですお久しぶりですね」
・・・・・・なんで?
「そうですね志貴さんの落ち込みぶりが、あまりにも激しいからですね」
・・・・・・そんなに酷いかな? 普通に振舞っているつもりなんだけど。
「いいえ無理しています そんな志貴さんは、私が愛した志貴さんじゃありません」
・・・・・・やっぱり、そうかな。
「そうですよ」
・・・・・・琥珀さん怒ってるんだね
「そりゃ、もう」
・・・・・・琥珀さん、怒るとそのポーズを取るよね
「そうですか?」
・・・・・・そうだよ
「まぁ、それはいいです 今日は志貴さんに一言いいに来たんです!!」
・・・・・・やっぱり翡翠の事?
「はい、翡翠ちゃんは私の可愛い妹です あんまり苛めないでください」
・・・・・・別に苛めてるわけじゃ
「でも翡翠ちゃんが一番、悲しむ事をしてるのは事実です 志貴さん琥珀からの最後のお願いですから約束してください、翡翠ちゃんをコレ以上悲しませないでください」
・・・・・・ ・・・・わかった、約束するよ
「ありがとうございます」
「夢か・・・」
空はもう日が落ちている・・・。
それに紛れて白い影とその上には黒猫が見える。
あいつ・・・。
屋敷に入ってから秋葉達がいる居間へ向かう。
なんであれ俺は琥珀さんと約束を守らなきゃ行かない。
だから俺は翡翠を見てから、こう言った。
「翡翠 また明日から俺を起しに来てくれる?」
その台詞が一歩に成ると信じて・・・。
end
coment
はい、どうでしたか?
俺にしては非常に珍しいシリアスです。
コレは、サークルのメンバーから依頼されて書いた作品です。
まぁ、まだまだ未熟な部分はありますが、自分ではそれなにりに気にっています。
まぁ、基本的にシリアスを書くのは、嫌いなんですがね。
ちなみにコレはRe:plica裏とreplicaで三部作なので、そっちも見てください・・・。
ちなみに題名はDue’le quartzの曲名からとりましたが、あんまり関係は有りません。
感想メールをお待ちしています。
2003/3/1