にんじんの時計
トントン
「お〜い、ななこいるか?」
有彦さんの部屋で私がくつろいでいると、いちごおねーさんが私を呼びました。
私は今は、マスターの許しを得て有彦さんの家に居候しています、だいたい私(第七聖典)を使う必要がある敵は、そういませんからね・・・。
とりあえず扉を開けてから有彦さんの部屋へいちごおねーさんを迎え入れます。
本当は、有彦さんから“姉貴を部屋に入れるなよ!!”と言われているんですが、気にしなくていいでしょう。
「なんですか?」
「ん〜汚い部屋だな」
いちごおねーさんは、部屋を見回してから、そんな呟きを漏らしました。
でも、それは確かに事実なのですから、有彦さんも反論は出来ないでしょう。
「まぁ、どうでもいいか そんなこと それよりななこ」
「はい、なんでしょうか?」
「来週な、あのバカ弟の誕生日なんだ、ななこからもなにか贈ってやってくれ」
「はい、わかりました!!」
ほぇ〜そうだったんですか、来週は有彦さんの誕生日ですか・・・。
なんやかんやで有彦さんには、仮マスターとしてお世話になっていますから、お返しはあげたいですね、でも私が買い物に行くわけにもいきませんから・・・しょうがないです、マスターを頼るしかないですね。
「いちごおねーさん、少し出かけてきます」
「おう、いっておいで」
住宅地にある平凡なマンションへと辿り着きました、はいお馴染みカレーマスターの住処です、ナルバレックさんは案外ケチなので、高級マンションには住めないのです。
「マスター相談があるんですけど」
玄関を開けるとカレーの匂いがまず出迎える、マスターの住処 これはたぶん異常なんですよね。
「あらセブン、どうしたんですか?」
「相談があるんです」
「・・・わかりました、私の部屋で待っていてください」
久しぶりのマスターの部屋、なんとなく懐かしく感じるのはなんでしょう?
まぁ、私もマスターのことは嫌いではないですけど。
「セブンもカレー食べますか? 今日は野菜カレーですよ」
たぶんここで断っても、無理やりに食べされる結末は、あきらちゃんの魔眼を通さなくても明らかですよね。
「なら少しだけください」
「それでセブン なんの相談ですか?」
とりあえず有彦さんの誕生日が来週に迫ってる事やお世話になった恩返しも兼ねてプレゼントを贈りたい事や、けどその手段がないことをマスターに相談しました。
「はぁ、なるほど、わかりましたプレゼントの方は私に付いてきてくれればいいですよ お金の方は、まあ今まで私の手伝いをしたと言うことで5000円ぐらいまでならだしますよ」
「ありがとうございます、マスターはやっぱりマスターですね」
それと、実はあと1つだけ、私が考えていることがあるんですが・・・正直言ってコレを相談するとマスターの傷跡に触れかねないんですよ。
でも、やっぱり・・・・
「あのマスターもう一つお願いがあるんですが・・・」
「なんですか?」
「ケーキの作り方を教えて欲しいんですけど」
一瞬マスターの顔が悲痛に染まった、やっぱり禁句だったんですね。
でもマスターは、パテシェを目指した事があるぐらいお菓子作りは上手です、その味がカレーなことを除いてはですけど、以前(カレー味じゃない)キャロットケーキを作ってもらったことがあったのですがマスターの萌え要素になるぐらいおいしかったんですよ〜
「わかりました、私もケーキを作るのは嫌いじゃないですから セブンは私達と同じように手は使えますから・・・まあ問題はないでしょう それじゃセブンさっそく買い物にいきましょうか? この1週間ミッチリ鍛えてあげますよ」
その日のうちにマスターに付いて行く状態でデパートへ有彦さんの誕生日プレゼントを買いにいくことになっちゃいました。
マスターの側にいれば私は実体化できるので充分に商品を見て回ることができますね。
「それでセブンは、なにを買うつもりなのですか?」
「有彦さんが、昨日腕時計を壊したって言ってましたから腕時計がいいかと思うんですけど・・・」
「ああ、そう言えば学校でも、そんなことをぼやいていましたね いいんじゃないですか使用頻度も高いですし なら時計売り場に行きましょう」
「はい」
さすがに時計売り場と言う事だけあって、色々な時計の種類が有りますね〜お客さんもさまざまです、長い髪を揺らしながら大量に目覚しい時計を買う人や、悲しさをかみ殺しながらも優しい顔で目覚しい時計を買う淡い栗毛色の少女などさまざまな人達がいますね〜
さてと、私も有彦さんのために選ばないと、マスターから渡された金額は5000円。
その金額以内で選ばなきゃいけませんね、ちなみにマスターは服売り場へと行ってます同じ階なので正契約者のマスターの魔力のポテンシャルなら私の実体も充分保っていられるんです、まぁそれとマスターが“ブンが選ぶ事が重要”言うので、私が選んでるんですが
う〜〜ん悩みます・・・・・・コレは一万円ですし。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
あっ、コレにしましょうオレンジ色で時計の中にニンジンをくわえたお馬さんが描かれている時計に、サイズもフリーですし、値段も4500円。
「これください あっ包んでくれますか?」
「あいよお嬢ちゃん プレゼントかい?」
「はい、そうです〜」
買い物を終えてマスターが居るはずの服売り場へ行くとマスターは妖しいオーラを放ちながら萌える服萌える服と言いながら、ゴシックロリータな服を真剣に選んでました。
怖いです。
だいたいマスターが服を変えるだけで、なにを挽回できると言うのでしょう?
「マスター私の、買い物は終わりましたよ」
「そうですか? なら次はキャロットケーキの材料を買いましょう」
マスターとキャロットケーキとカレーの買い物を済ませるとマスターの家でケーキの作り方を教えてもらいます、意外にも手際がいいので改めておどろちゃいました。
「こんな感じで後は、焼いてから冷やしてクリームをつけて あとはトッピングしたら完成です いいですか? セブン? まあ乾君の誕生日まで私の家で練習しときましょう」
「はい マスター!!」
そして1週間後の乾家。
「おっ、そっか今日は俺様の誕生日か・・・」
有彦さんは、テーブルに用意されたいちごおねーさんが作ったご馳走を見てから、そう漏らしました。
「自分の誕生日を忘れるなんてバカですね〜」
「うるせえよ、この駄馬!!」
ゴツッと有彦さんからの拳骨。
うっ痛いです。
「やめろ有彦、ななこだって飯作るの手伝ったんだから」
「へぇ、そっか」
そう言いながら、有彦さんは席についてからごはんを食べだします。
「ななこが作ったのは、どれだ?」
「このニンジンサラダですよ」
「まったくお前はニンジンばっかりだな まっ食べてやるか」
そう言ってから有彦さんは、ニンジンサラダを小皿にとって食べます。
「どうですか?」
「不味くわないな」
そう言いながらも有彦さんは、再びサラダを小皿によそってくれます〜.
ななこは感激です。
食事が終わるころ有彦さんに、すでに私が作っておいたケーキをだそう冷蔵庫へ向かいます。
「へへ〜実は、私の手作りのケーキがあるんですよ」
そう言ってから冷蔵庫にあるケーキを有彦さんの元へ持っていこうとしたんですが・・・・
ボト
したんですが・・・・・したんですがケーキが落ちちゃいました。
「あっ、うわーーん ごめなさい」
折角作ったのに、やっぱり私ってドジなんでしょうか?
ケーキを無残なほどに形が崩れてます。
「ななこ、気にするなよな ケーキなんて また作ればいいだろ? このバカ弟も食べると思うからさ」
「でっ、でも・・・」
「ほっとにお前ってドジだよなななこ」
有彦さんが私の元まで近寄ってきて涙を拭いてくれました。
「ほんとに今日の主役は俺だって言うのに迷惑ばっか かけやがって、ドレ」
有彦さんは、そう言って落ちたケーキを手にとってから口に運んで食べてくれました。
うう有彦さん、ありがとうございます。
「まっ、結構美味いじゃないか せっかくだし今度はまともなのを食べたいな ななこ来週でもいいから作ってくれないか」
「あっ、はい ななこにまかせてください!!」
「へぇ〜優しいとこあるじゃん」
「うるせ〜バカ姉貴 このケーキをとっととかたずけろよ」
「待てよ、私はまだ食べてない ほいっっと うん美味しいよななこ」
「いちごおねーさん ありがとうございます」
うう、本当にありがとうございます〜。
「そう言えばななこ、このバカ弟にプレゼントがあるんだろ?」
「あっ はい有彦さん、誕生日おめでとうございます!!」
「おっサンキュー 開けてもいいか?」
「いいですよ」
「げっ、えらく少女趣味な腕時計だな まっ新しく時計買うまで使っといてやるか サンキュなななこ」
fin
エピローグ
翌日の学校の教室で、いつも通り志貴と有彦が話している。
「なぁ 有彦なんだその少女趣味な腕時計は?」
有彦の右腕にはオレンジ色の腕時計が巻かれていた、時計の中にはニンジンを食べている馬が描かれている。
「まっ妹みたいなもに貰ったんだ」
「へーそれじゃあ、昨日買った時計は?」
「ああ、アレか・・・アレはお蔵入りだ」
「有彦、なんか妙に嬉しそうだな」
確かに腕時計を見る有彦の顔は、いつもよりも嬉しそうだった。
後書き
はいはじめましてTSG1です。
“にんじんの時計”を読んでくれた人、感謝します。
俺にしては珍しいタイプの作品ですから、苦労もしましたし
照れました、ななこの視点で書くのも苦労したんですよね。
あんまり出来はよくないですが、気にいっている作品です。
よければ感想などのメールをください。
以上Rock☆starのボス TSG1でした。
2003/3/1